Rainy-Rainy-Rainy

雨はしとしと降り続く。秋雨の季節と思うにはまだ早いけれども、ここ数日降り続け、蒸し暑い日々が続く。
このままでは自分の頭までも腐ってしまうんではないか。そう思っても仕方のないことだろう。
今日も朝は晴れていたかと思っていたら、急に空をそれが埋め尽くし、気がつけばぽつりぽつりと降り注いできた。
通り雨で済むかと思ったそれは止むことがなく、時間が経つたびにそれは激しくなっていく。
どうせなら朝から降ればよかったのに。そうすれば無駄にテンションがあがることはなかった。
上げて下げるようなことはしないで欲しいと思うのは、俺だけだろうか?

(瞬・・・傘どうしたのかな?)

久々の晴天だったので、弟は青空に負けないほどの爽やかさで出て行ったはずだ。
帰ったら一緒に買い物に行く約束をしていた。俺も今日は講義がなかったから、久々に何も予定がなかった。
彼も今日で実力テストが終わり、午前中で帰れるはずだ。そのせいか、今日はいつも以上に明るい顔だった。
それさえ見れればこんな鬱陶しい気分も晴れるのに・・・。





そろそろずぶ濡れで帰ってくることだろう。お昼だけでなく、タオルも用意しておかなければいけないな。
そう思いかけたところ、駆け足の音が大きくなってくる。途中でこけたらどうするんだ。
それを想像して苦笑していると、勢いよくドアが開き、愛しい弟が入ってくる。

「ふ・・・降られた・・・光輝兄・・・タオル・・・」

疲れ果てた顔で中にきた。びしょぬれの彼は、エアコンの空気で急に冷えたのか、一回ぶるっと身震いをする。
それが身体を乾かす犬のようで、思わず笑いたくなってしまう。しかしそれを行わずに済んだのは、目の前で笑っていられない状況が存在したからに他ならない。



(す・・・)



透けてる・・・。雨を充分すぎるほど吸収した白いワイシャツは、その役割を果たしていなかった。
べったりとくっついた白い衣の下から、申し訳なさそうに肌色が浮かび上がっている。
白と肌色が微妙に溶け合ってワイシャツが絶妙に透きとおり、『雨に濡れた弟』というそれだけの事実がそれだけの事実であることを無理やり否定してくれる。
さらに、外は蒸し暑かったのか、着替えようとしていたのかは知らないけれど、ボタンもいつもより一つ多くはずしており、ちらりと鎖骨を覗かせている。

(それはまずいだろう)

本人がその事実に気づいていればまだ救いがあっただろう。ギャグに出来る。
しかし、瞬は気づいていないようで、それがますます(俺の)状況を悪化させる事になる。
基本的に彼はストイックなはずだが、これを見てそう思えといわれても無理だ。
普通に脱いでいてくれていたほうが、まだ心臓の負担が少ないかもしれない。

「とりあえず・・・着替えろ・・・お願いだから着替えてくれ」

渋い顔を繕って彼を追い出し、呼吸を落ち着かせる。
ずっと雨は嫌なものだと思っていたけれど、こういうのがあるのなら、『たまには』降ってもいい・・・そう思う。



ただ、本当に・・・降るなら時々にしてほしいものだ。





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当サイト一周年の記念に秋山氏さまよりいただきましたSSですvv
このお話のお2人は秋山さまの書かれているオリジナル小説のキャラクター☆

もう拝読しながら悶えまくりました!!
兄弟・雨・濡れシャツのスリーコンボ!このナニもいかがわしいことをしていないのに文から滲み出す
イヤンでドキドキなお色気ムード!さすが秋山さまですo(≧▽≦)o
さらに弟君のイヤン姿を見ても頑張って平静を装おうとする兄上…
そんな兄の気など知らず普段どおり振舞う弟君…
もう、激萌えっvv
こんなに素敵な作品をいただけて本当に舞い上がりそうでした///

秋山さま、ありがとうございましたvv


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