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やまださまからタレとツリのSSを頂きましたーーッ!!
あああ〜もう嬉しすぎです!!///幸せすぎです!!///
イラストだけでは伝えきれないタレとツリの物語…ささっ、いざー!!

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 それは、絶叫を通り越して呆れた声だった。
「お前、今何て言った……?」
「何だ、聞こえなかったのか?じゃあ、もう1度言う。今日のデートは無理だ」
 学校の帰り道、さほど人通りの無いコースを歩きながら二人は言葉を交わしていた。
「でもさ、今日はオレの誕生日で。それでデートしたいって言ったら、お前OKしたじゃないか」
「何を勘違いしてるんだ?俺はあの時、予定として入れてはおくと言ったんだ。予定は未定であって決定ではない」
「そんな……」
 詰め寄って来る相手に動じる事無く言い放つと、完全に言い負かされた栗色の髪とタレ目が特徴的な少年は、ガクリと頭を垂れた。
「だってさ…お前、普通恋人の誕生日にバイト入れるやつはいないだろ……」
 情に訴えようと言う訳でもなく、本当にガックリとした様子で相手に話しかけるが、反対に吊り上った目が特徴になっている少年は、見た目通りの冷静さでこう切り返した。
「仕方無いだろ、今日は人が少なくて大変なんだ。それに、デートなんていつでも出来る」
 親の仇かのように浴びせられる口撃に益々力を失っていったが、何か思いついたのか、ふと顔を上げると少し先を歩く相手に言葉を投げた。
「じゃあ、今日終わってからでも良いから」
 不意に投げられた言葉に、少年は振り返ると小さく息を吐きながらこう言った。
「良いぞ」
「えっ?今、何て……」
 まさか、良いと言われるとは思っていなかったらしく、思わず聞き返してしまった。
「良いぞと言ったんだ、何なら取り消しても良いぞ?」
「うわーっ!取り消さないで良いから、本当、マジ感謝だから!」
 慌てて首を左右にブンブンと振って駆け寄ってくる来る恋人に、少年は思わず口端を上げて笑みを浮かべた。
「だけど、これだけは言っておく。今日は週末だしかき入れ時だ。21時が定時だが、さっきも言った通り人が少ないからまず残業だろうな」
「そ、それは仕方無いよ。あの店が忙しいのはオレだって充分承知してるし」
「で、だ。もし俺が22時までに待ち合わせ場所に来ないようなら今日のデートは無し。良いな?」
「う…分かった……」
 最後に少しクギを刺される形となり表情が少し曇ってしまったが、それでも嬉しそうに彼は家路へと着いて行った。

 すっかり暗くなった駅前の大きな時計台の下に彼はやって来た。時間は21時10分前、丁度良い時間だ。
 少年は、楽しみと言った表情で相手が来るのを待つ事にした。
 22時、待ち合わせの時間。しかし、彼が来る気配は無い。
「22時か……でも、着替えとか上がりの準備で手間取って遅れてるのかもしれないし…」
 そう自分に言い聞かせながら、尚も相手の到着を待った。
 それから30分、やはり彼の来る気配は無い。
「あ、あれだ。コッチに来る途中、信号で止まり捲ったり人助けをして遅れてるのかもしれない」
 少し苦しい考えを呟きつつ、更に相手が来るのを待った。
 そして、ついに待ち合わせの時間から一時間が経ったが、彼はとうとう姿を現さなかった。
「帰るか……」
 少年は大きく肩を落とすと、トボトボと駅前を後にした。
「仕方無いよな、元々そう言う約束だったんだし……」
 帰り道、一人トボトボと歩きながら呟く。ああやって言う以上、恐らく来ないであろう事は目に見えていた。しかし、万が一の可能性にかけてみた。結果、そうなったのであれば仕方無いし、今日の事をどうこう言っても始まらない。また明日会って、もう1度デートの約束を立てよう。そう気持ちを切り替えて、曲がり角を左に曲がったその時。
「ハロー」
 突然、ほっかむりを被った男が目の前に立ち塞がった。
「※☆&%$×÷……!」
 〜こんな登場の仕方をするのはヤツしかいない〜
 そう思ったのは、余りにも不意打ち過ぎて言葉を失い、猛ダッシュで逃げようとした所を捉えられた後だった。
「き、急になんだよ!ビックリしただろ……!」
「別にどう現われようが俺の勝手だろうが」
「それはそうだけど……何も、驚かす必要は無いだろ!」
「そうか、じゃあ帰らせてもらおうか?折角、こうして来てやったのにワガママな奴だ」
 そうだ、確かに形はどうあれ自分に会いに来てくれたんだ。
 それを思うと彼は嬉しさと恥ずかしさがゴチャ混ぜになり、僅かに照れた表情を見せると俯いた。
「あ、ありがとうな……」
「そうそう、初めからそうやって素直になれば良いものの……」
 そう言って彼はほっかむりを取ると、苦笑しながら手に持っている小さな袋を差し出した。
「これは……?」
「CDだ」
「な、何のCDだよ……」
 過去に一度、1時間延々とセミの鳴き声だけが入ったCDを。
「お前の好きそうなCD」
 と言われ、貸された事があった為、思わず警戒しながらCDを受け取るとラッピングを丁寧に剥がして中を見る。
 それは、自分が好きなアーティストの最新アルバムだった。
「これ……」
「何だ、もしかして1時間道路工事の音だけ入ったCDでも持って来たとでも思ったのか?」
「そんなCDあるのかよ……」
 相手の言葉に思わずゲンナリしつつも、自分の欲しかったCDをプレゼントしてくれた事に対しては、素直に喜びを表した。
「ありがとうな、コレ、すっげー欲しかったんだ」
「それぐらい喜んでくれないとな、コッチも探した苦労が報われない」
「そうだよ、このCD出たばっかで売り切れの店続出なんじゃん!一体、何軒回ったんだ?」
「まあ、5件ぐらいか」
 あまりにもアッサリと言う相手に少し拍子抜けしてしまうが、それだけ苦労して探してくれて、それで遅れたけど今日中に渡してくれて。
「そうだ、言い忘れてたな」
 そう言うと、彼は徐に抱きしめた。
「誕生日、おめでとう」
 その言葉を聞くと、彼はCDをポケットに入れて思い切り抱き締め返した。
「ありがとう、凄い嬉しい……!」
 そう言って口付ける。始めは軽く、次第に深く確りと。その感触を味わうと、互いに唇を離す。
「じゃあ、そろそろ帰るぞ。明日も学校だからな」
「あっ、そうだよな……本当にありがとう!」
 良いって事さと軽く手を振りながら帰って行く恋人を、彼は見えなくなるまで笑顔で手を振り続けた。

FIN

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あっぎゃーー!!!vv
奥さま見ましてッ?!あんのタレがこんなにも可愛く美味しそうに仕上がって!!ツリもイカしたツンデレっぷりが
最高級でございましたです!!
もう自分のキャラだなんてことはかなぐり捨ててのハァハァ全開!!
まさかあの2人にこんなにもトキメクだなんて夢にも思っておらずのやまださまマジック(笑)にどっぷり浸かって
しまったタカツキです///vv
2人のラブラブっぷりとやりとりの面白さ、もう微笑ましくもあり笑いもありととっても楽しく拝読させていただきました…vv


やまださま、こんなにも素敵なSSを本当にありがとうございました…!!
自分のキャラクターでお話を、しかもこんなにも魅力的に書いていただけてこの上なく幸せでございます…vv(*^▽^*)


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