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「・・・けど・・・・」
「・・まだ何かあるのか?」
うつむいて、小さく口を動かす。
「・・」
「あーのなぁ、俺だってあんな夢見たあとでお前と話したりして、ちょっとは興味出てきたのし、友達だったらもうスキの範囲には来てるくらいなんだよ! あーもー売り出し期間中だぞ!? ・・・いや待て、売ってはないぞ、ほんのり割引みたいな・・」
あぁもう、わけがわからなくなってきたぞ。
『・・・だってさ。こいつのボキャブラリーがなくなる前に早く返事したら?』
・・・ナイス、トロ。
『なんだかんだ言ってるけど、結局はコーリンが好きってことでしょ。』
・・・・前言撤回。
何か思いっきり都合良く解釈された気がしますが・・・・・・??
「おいコラ、待てぃ!そういう意味のすきだとは全然、ひとっかけらも言ってねぇぞ!!」『もう、照れちゃって〜、あんなに必死で説得してたのに〜〜。』
・・・・なんか、俺、こいつにやったら遊ばれてないか・・・?
俺がキレて、思わず手を振り上げたとき、腕ごと後ろから捕まれた。
・・・あ、さっきと逆のシチュエーション。
「・・・・うん。・・分かった。失礼だったんだ、俺。振り向かせようとか、言おうとか思ったことなかったから」
「・・おう。100%で取りかからないと逃がしちまうぞ。逃げた魚は、そりゃあもう大きいって」
・・・・なんてな。何言ってんだか。
墓穴を掘ってることも分かってる。だけど捕まる気もないし。
捕まるくらいなら俺の方が捕まえてやるし。
これくらいが十分。
「・・・・・ごめん、すきになって」
「別に思うのは勝手だろ。叶うかはお前次第だけどな」
「・・・・うん」
・・・・あーあ。止めるだけが目的だったのに、いつの間にか自分を好きな奴応援しちまって。まぁでも、相手はあんな夢見せつけられたんだから、おあいこか。

・・・・・って、ちょっと待て。
「・・なぁ三島。それで昨日の夢ってどうしたんだ・・・?」
「・・・・え・・そのまま、だけど。昨日の夢には俺出てなかったし」
・・・おい。
「お前・・・ホントに見てたのか?」
「・・・・は?」
「・・・最後らへん、すんごいお前のこと探してたんですけど・・・・?」
「・・・・・嘘だろ」
嘘だったら、あんな鮮明に覚えてねぇよ。
「あー・・・・じゃあ、一昨日の夢は?」
「それを今日消そうと思って・・・・わがまま言って、少しだけ先延ばしにしてたから」
「んじゃ、その前のは・・・?」
一瞬だけ、三島の動きが止まった。
「・・・・まだあるのか・・??」
すこし、涙目になっている。
「・・・・知らないのか・・?」

・・見られてると思ってた。
最初の夢が・・・・・・実は一番ヤバかったんだ。
はじめから終わりまで、フルコースで、一晩・・・ぶっとおしの。
・・・・・・・・・・うわ、良かった!!!!!!!!
神様、見逃してくれてありがとう!!!

そんな気分で頭上を拝んでいると、三島が訝しげに俺を見た。
「・・・どんな感じの・・・?」
さらにそんなことを聞いてくる。さすがに面と向かっては聞きづらいので、顔を左に背けてはいるが。顔、真っ赤だっつーの。
・・・・聞くなよな。その次の夢は見てたんだろ・・・?


・・甘くて艶っぽくて、・・・・・・・たまらなかったって、俺に言わせんのかよ。
思い出すだけで、頭ん中、スパークする感じなのに。

「・・・・まぁ、とりあえず・・」
とにかく・・・さ。
すぅ、と深呼吸をして、俺は言った。
「今夜はいい夢、見せてくれるんだろ・・・・?」

そうたずねて三島を見ると、ぽかんと拍子抜けした顔をしていて、それから少し笑ってうなずいた。

本当に、今日は頼むぞ。今度こそいい夢を・・の前に、眠れるかどうか自信がないけれど。まぁ、大丈夫かな。今夜はなんたって夢魔がついているし。
今度の夢は三島にも告げずにいよう。もちろん・・・この部屋のどこかにいるあいつにも。
誰も知らない結末は、夢の中だけで味わおう。

僕らの夜は、終わらない。




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