[ 1 ] [ 2 ] [ 3 ] [ 4 ] [ 5 ] [ 6 ] [ 7 / おまけ ] 「・・・けど・・・・」 「・・まだ何かあるのか?」 うつむいて、小さく口を動かす。 「・・」 「あーのなぁ、俺だってあんな夢見たあとでお前と話したりして、ちょっとは興味出てきたのし、友達だったらもうスキの範囲には来てるくらいなんだよ! あーもー売り出し期間中だぞ!? ・・・いや待て、売ってはないぞ、ほんのり割引みたいな・・」 あぁもう、わけがわからなくなってきたぞ。 『・・・だってさ。こいつのボキャブラリーがなくなる前に早く返事したら?』 ・・・ナイス、トロ。 『なんだかんだ言ってるけど、結局はコーリンが好きってことでしょ。』 ・・・・前言撤回。 何か思いっきり都合良く解釈された気がしますが・・・・・・?? 「おいコラ、待てぃ!そういう意味のすきだとは全然、ひとっかけらも言ってねぇぞ!!」『もう、照れちゃって〜、あんなに必死で説得してたのに〜〜。』 ・・・・なんか、俺、こいつにやったら遊ばれてないか・・・? 俺がキレて、思わず手を振り上げたとき、腕ごと後ろから捕まれた。 ・・・あ、さっきと逆のシチュエーション。 「・・・・うん。・・分かった。失礼だったんだ、俺。振り向かせようとか、言おうとか思ったことなかったから」 「・・おう。100%で取りかからないと逃がしちまうぞ。逃げた魚は、そりゃあもう大きいって」 ・・・・なんてな。何言ってんだか。 墓穴を掘ってることも分かってる。だけど捕まる気もないし。 捕まるくらいなら俺の方が捕まえてやるし。 これくらいが十分。 「・・・・・ごめん、すきになって」 「別に思うのは勝手だろ。叶うかはお前次第だけどな」 「・・・・うん」 ・・・・あーあ。止めるだけが目的だったのに、いつの間にか自分を好きな奴応援しちまって。まぁでも、相手はあんな夢見せつけられたんだから、おあいこか。 ・・・・・って、ちょっと待て。 「・・なぁ三島。それで昨日の夢ってどうしたんだ・・・?」 「・・・・え・・そのまま、だけど。昨日の夢には俺出てなかったし」 ・・・おい。 「お前・・・ホントに見てたのか?」 「・・・・は?」 「・・・最後らへん、すんごいお前のこと探してたんですけど・・・・?」 「・・・・・嘘だろ」 嘘だったら、あんな鮮明に覚えてねぇよ。 「あー・・・・じゃあ、一昨日の夢は?」 「それを今日消そうと思って・・・・わがまま言って、少しだけ先延ばしにしてたから」 「んじゃ、その前のは・・・?」 一瞬だけ、三島の動きが止まった。 「・・・・まだあるのか・・??」 すこし、涙目になっている。 「・・・・知らないのか・・?」 ・・見られてると思ってた。 最初の夢が・・・・・・実は一番ヤバかったんだ。 はじめから終わりまで、フルコースで、一晩・・・ぶっとおしの。 ・・・・・・・・・・うわ、良かった!!!!!!!! 神様、見逃してくれてありがとう!!! そんな気分で頭上を拝んでいると、三島が訝しげに俺を見た。 「・・・どんな感じの・・・?」 さらにそんなことを聞いてくる。さすがに面と向かっては聞きづらいので、顔を左に背けてはいるが。顔、真っ赤だっつーの。 ・・・・聞くなよな。その次の夢は見てたんだろ・・・? ・・甘くて艶っぽくて、・・・・・・・たまらなかったって、俺に言わせんのかよ。 思い出すだけで、頭ん中、スパークする感じなのに。 「・・・・まぁ、とりあえず・・」 とにかく・・・さ。 すぅ、と深呼吸をして、俺は言った。 「今夜はいい夢、見せてくれるんだろ・・・・?」 そうたずねて三島を見ると、ぽかんと拍子抜けした顔をしていて、それから少し笑ってうなずいた。 本当に、今日は頼むぞ。今度こそいい夢を・・の前に、眠れるかどうか自信がないけれど。まぁ、大丈夫かな。今夜はなんたって夢魔がついているし。 今度の夢は三島にも告げずにいよう。もちろん・・・この部屋のどこかにいるあいつにも。 誰も知らない結末は、夢の中だけで味わおう。 僕らの夜は、終わらない。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 戻る << BACK NEXT >> |